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New Eagle Bone Conduction Headset

New Eagle(ニュー・イーグル)ボーン・コンダクション・ヘッドセット

ニュー・イーグル / アトランティック・シグナル

New Eagle / Atlantic Signal

New Eagle(ニュー・イーグル)ボーン・コンダクション・ヘッドセット 1989年、米国カンザス州の州都トピカにおいて設立された“New Eagle International(ニュー・イーグル・インターナショナル)”社は、 特殊部隊向け先進タクティカル・ヘッドセットやPTTオプションをはじめとして、 軍・法執行関係機関を対象とした各種タクティカル・コミュニケーション・システムを開発・製造している北米最大規模の戦術通信機器メーカーだ。 なお、同社は2000年代初頭に社名を現在のAtlantic Signal(アトランティック・シグナル)社に変更している。 同社は自社製品の供給のほか、タクティカル・コミュニケーション・ツールの大手代理店として、 Peltor COMTACシリーズをはじめとした主要な戦術通信機器メーカー(3M/Peltor、Esterline/Racal Acoustics、Selex Communications、Phonak Communications)製品の供給・修理対応も行っている。 また、同社は顧客の特殊な要望に応じ、3M/Peltor社による正式な認可を得たうえで独自のモディファイをCOMTACシリーズに加えている数少ない企業だ。 設立間もない新興メーカーであった同社は、FBIに所属している精鋭対テロ特殊部隊であるHRT(Hostage Rescue Team:人質救出部隊)メンバーの助言を受け、 骨伝導通信技術を応用した世界初の実用的なボーン・コンダクション・タクティカル・ヘッドセットを開発したことで一躍有名となった。 これを機に同社は米国及び海外のタクティカル・マーケットにおいて、警察SWATチームをはじめとした特殊部隊向けタクティカル・ヘッドセットの大手供給源として成長し、 米軍やNATO加盟軍など各国のミリタリー・ユースに対する主要なコミュニケーション・サプライヤーとしての地位を築いている。 設立当初は単品のヘッドセットとPTTオプションの供給で始まった同社の事業だが、今日ではヘッドセットを中核としたコミュニケーション・システムを運用するため、 PTTオプションをはじめとした周辺アクセサリー、ラジオ・インターフェイスなど数百に及ぶ組み合わせを提供している。 事業規模を拡大した同社は主な分野として、ワイヤレス・コミュニケーション・デバイス、車載用ポータブル・インターコム、スマートフォン・インターフェイス、 マルチプル・アプリケーション・DOD及び民間航空機プラットフォーム対応のICSケーブル、 タクティカル・メディック・インターコム、米海兵隊などに採用されている重機用インターコムの設計・開発・製造を行っている。 同社は製品供給先であるホワイトハウス、USSOCOM(United States Special Operations Command)、FBI SOU(Special Operations Unit)、海兵隊が運用する大統領専用ヘリであるマリーン・ワン、 シークレット・サービスをはじめとして、国内外の数千に及ぶエンドユーザーの背景を製品開発に反映している。 2009年、対テロ作戦任務を担うNSWDG(Naval Special Warfare Development Group)の要望によって開発が始まった“DOMINATOR II Communications Suite”は、 実戦部隊からのフィードバックによる無数の試行錯誤の末、数年の開発期間を経て既存のコミュニケーション・システムの問題を解決し、対テロ特殊部隊向け次世代タクティカル・ヘッドセット・システムとして完成した。 これらは2011年に決行されたウサーマ・ビン・ラーディンの殺害作戦(Operation Neptune Spear)など、 国家の権益に関わる重要な特殊作戦に参加するタクティカル・オペレーターに運用されている。 米国の主要戦術機器メーカーの中でも研究・設計・開発・製造の全てを自社のみで行っている企業が数少ない中、 同社はライバル関係にある米国の主要な戦術通信機器メーカーの多くが海外の大手通信機器メーカーで製造された製品ないし中国製などの粗悪な製品のブランド・ラベルを張り替えただけで、 あたかも完全な自社製品であるかのように顧客を錯覚させて販売する企業姿勢に批判的だ。 代表的な例がスウェーデンで製造されたMSA Sordin社製“Avenger”ヘッドセットで、 これを米国に輸入したTCI社では“Liberator II”、TEA社では“Tier One/Hi-Threat”と米国市場においてブランド名を変更して販売しているが、製品として中身は全く同一である点を強く指摘している。 これらの製品が故障した際、修理のために各社はスウェーデンの製造元までヘッドセットを送り返す必要があり、 同社は自社で金型すら有していない製品について徹底した品質管理や迅速かつ丁寧な修理対応は不可能であると断言している。 このため、同社は米国の本社工場とカナダのトロント工場の2箇所に製造拠点を集約し、全製品の徹底した自社生産にこだわり、 アジア地域などの海外拠点に依存することなく、北米地域内のみで全ての製品製造を行っているのだ。 この自社製品に対する徹底した品質管理姿勢や顧客対応の高さが評価され、同社の製品は米軍及び連邦政府機関、 警察SWATチームに代表される全米の法執行関係機関など、高品質のタクティカル・ヘッドセットを求める数多くのタクティカル・ユースにおいて採用されている。

ニュー・イーグル ボーン・コンダクション・ヘッドセット

New Eagle Bone Conduction Headset

New Eagle(ニュー・イーグル)ボーン・コンダクション・ヘッドセット

ニュー・イーグル(現アトランティック・シグナル)社製の“ボーン・コンダクション・ヘッドセット”は、骨伝導(ボーン・コンダクション)方式を採用した特殊作戦向けタクティカル・ヘッドセットだ。 警察SWATチームなどの特殊部隊で用いられてきた従来の一般的なコミュニケーション・システムでは、 外部から受信された音声情報を外部スピーカーを通した空気伝導(気導音)で受信者(隊員)に間接的に伝搬しており、 受信者は必ず唯一の聴覚器官である外耳にスピーカー・システムやサウンド・チューブを装着するか、 もしくは周囲に音声情報が筒抜けなのを承知でハンド・スピーカー・マイクなどを利用するほかなかった。 これに対して骨伝導方式のヘッドセットは、受信された音声情報を機械的に微弱振動へ変換して、 その振動を頭蓋骨を通した骨導音によって鼓膜を介さず直接的に聴覚神経に伝搬する。 そのため、射撃音をはじめとした爆発音やエンジン音など、外部の騒音が著しい場合であっても骨導音による確実な音声伝達が可能となっている。 また、空気伝導を利用するスピーカー・システムとは異なり、骨伝導方式のヘッドセットは外耳周辺を完全に開放することが可能で、 活動環境における聴覚での状況把握にも支障をきたさず、さらに長時間着用時の聴覚疲労のストレス軽減にも加味する。 なお、音声受信マイクは一般的なヘッドセットと同じく、声帯振動方式のスロート・マイク・システムよりも受信音声品質が高く、信頼性に優れた外部露出タイプのフレキシブル・ブーム式マイクを採用している。 1990年代から2000年代にかけて、同社のボーン・コンダクション・ヘッドセットは、Navy SEALs(米海軍特殊部隊)やDEVGRU(米海軍特殊戦開発グループ)、グリーンベレー(米陸軍特殊部隊群)などの各種米軍特殊部隊、 LAPD(ロサンゼルス市警察)SWAT(特殊火器戦術)チームをはじめとした全米の警察SWATチームなど、各国の軍・法執行関係機関所属のタクティカル・ユースに広く採用されていた。

New Eagle(ニュー・イーグル)ボーン・コンダクション・ヘッドセット

▲最大の外観的特徴であるデュアル・オーディオ・トランスデューサーは、着用者の下顎の骨部分に接し、 微振動に変換された音声情報を骨伝導によって直接内耳へ伝達する。トランスデューサーは、肌触りの良いウレタン系の軟質素材で覆われている。

New Eagle(ニュー・イーグル)ボーン・コンダクション・ヘッドセット

▲フレキシブル・ブームには、周囲の雑音を低減するノイズ・キャンセリング機能付き防水マイクロフォンが搭載されている。 右利き射手に合わせてブームは左頬に配置されており、銃床を頬付けした際も支障がないように右頬部分は完全に開放されているのが特徴だ。

New Eagle(ニュー・イーグル)ボーン・コンダクション・ヘッドセット

▲適度な弾性を有するスチール製のバーティカル・ヘッド・フレームには、耐久性を優先して伸縮構造などのサイズ調整機能がない。 2000年代以降に販売されたアトランティック・シグナル社製の“MH180”シリーズでは、着用者に合わせてオーディオ・トランデューサーが下顎の最適位置にくるように4種類(S/M/L/XL)のアーム長から最適サイズを選択することができる。

New Eagle(ニュー・イーグル)ボーン・コンダクション・ヘッドセット

▲アーム位置を保持する後頭部のヘッドバンドは、面ファスナーによってサイズ調整が可能だ。

New Eagle(ニュー・イーグル)ボーン・コンダクション・ヘッドセット

▲ヘッドセット・アッセンブリー及びラジオ・ケーブルを通じて接続されたPTTスイッチ・アッセンブリー。

New Eagle(ニュー・イーグル)ボーン・コンダクション・ヘッドセット

▲ヘッドセットと無線機を接続するコネクター形状などのインターフェースは、無線機のメーカーや機種によって異なるため、運用する無線機に合わせて適宜選択する必要がある。 なお、本品は icom(アイコム)社製やALINCO(アルインコ)社製をはじめとしたトランシーバーなどで使用される標準的なストレート2ピン型のインターフェースに対応している。

New Eagle(ニュー・イーグル)ボーン・コンダクション・ヘッドセット

▲ヘッドアーム、オーディオ・トランスデューサー、ブームマイクから構成されるヘッドセット・アッセンブリーは約100gと軽量だ。

New Eagle(ニュー・イーグル)ボーン・コンダクション・ヘッドセット

▲アトランティック・シグナル社の製品を象徴する最も標準的なモデル“K”PTT(Push To Talk:プッシュ・トゥ・トーク)スイッチ・ユニット。 2インチ四方の箱型デザインが特徴的な本体は堅牢で軽量なアルミニウム合金製だ。 また、本体及びPTTスイッチ、コネクター・ポートは耐水性ガスケットでシールされた防水構造であり、 接続されるラジオ・インターフェース・ケーブルも耐水性ナイロンが採用されているため、水辺でのウォーター・オペレーションにも対応可能である。 側面に位置する小型のアクション・スイッチが静粛性に優れたサイドPTTスイッチで、 押下した際のクリック音を最小限に留めており、 静粛性が求められるステルス・エントリーなどでも戦術的優越性を損なわない。 スイッチは銃のスリングなどの接触による誤送信を防ぐため、大型シュラウドで覆われている。

New Eagle(ニュー・イーグル)ボーン・コンダクション・ヘッドセット

▲一方の側面に設けられているのは、誤操作防止のシュラウドで覆われたリモート・ボリューム・コントロール・ダイヤルだ。 これは製造時に追加できるオプション・オーダー・カスタムで、通常販売されている“K”PTTスイッチ・ユニットには標準装備されていない。

New Eagle(ニュー・イーグル)ボーン・コンダクション・ヘッドセット

▲本体の背面にはステンレス製で堅牢な大型アリゲーター・クリップが備えられており、ボディー・アーマーやタクティカル・ベストなどの装身具にPTTスイッチ・ユニットを強固に装着することができる。

New Eagle(ニュー・イーグル)ボーン・コンダクション・ヘッドセット

▲New Eagle(ニュー・イーグル)社製のボーン・コンダクション・ヘッドセットを頭部に装着し、重要防護施設の駐留警戒を行う警察対テロ特殊部隊所属のオペレーター。 難燃性のアサルト・スーツとバラクラバを着用し、一定の抗弾能力を有するボディー・アーマーの上からEAGLE(イーグル)社製TAC-V1-NAタクティカル・ベストを着用、 頭部のPROTECH(プロテック)社製デルタフォース・ヘルメットには同社のモデル702MTバリスティック・フェイス・シールドが装着され、頭部及び顔面を弾丸の脅威から防護している。 手にしているプライマリー・ウェポンは、高威力の5.56mm x 45 NATOカートリッジに準拠したH&K社製G36Cアサルト・ライフルだ。 各種ヘッドギアに干渉しないようロー・プロファイル・デザインを採用したNew Eagle社製のボーン・コンダクション・ヘッドセットは、 対テロ特殊部隊で運用される殆ど全てのバリスティック・ヘルメットやレスピレーター(ガスマスク)と併用可能である。

New Eagle(ニュー・イーグル)ボーン・コンダクション・ヘッドセット