警察SWAT装備・対テロ特殊部隊装備・戦術射撃・軍事技術・危機管理技術

TCI

Tactical Command Industries

1996年に米国で設立されたTCI（Tactical Command Industries）社は、特殊部隊向け先進タクティカル・ヘッドセットやPTTスイッチ・ユニットをはじめとして、 軍・法執行関係機関、民間セキュリティを対象とした各種タクティカル・コミュニケーション・ツールを開発・製造してきた戦術通信機器メーカーだ。 同社は作戦環境の異なる個々の顧客の要望に応じ、運用無線機とヘッドセット、PTTスイッチ・ユニットの互換性を確保するため、カスタム品を含む300種類近いラジオ・インターフェースをサポートしている。 また、同社の製品は世界30カ国以上に輸出され、その信頼性の高さから米軍やFBIをはじめとした連邦政府機関、各地の警察SWATチーム、各国の軍・警察特殊部隊など数多くのタクティカル・ユースに採用されている。 なお、同社は2013年に米国の大手総合タクティカル・ギア・メーカーであるサファリランド・グループ（SAFARILAND GROUP）に買収され、その系列企業となった。

TCI SAS II スペシャル・エア・サービス タクティカル・ヘッドセット

TCI SAS II Special Air Service Tactical Headset

TCI社製の“SAS II Special Air Service Tactical Headset”は、低視認性で秘匿運用に優れたロー・プロファイル・タイプのタクティカル・アサルト・ヘッドセットである。 マイクやスピーカーなどが一体となった通常のヘッドセット・システムとは異なり、“SAS II”ではマイクロフォン・モジュールやサウンド・ウェーブ・モジュールがそれぞれ可動式の独立構造となっているため、 これらの装着場所を選ばず、運用の自由度が高いのが最大の特徴だ。 軽装の私服警護員から重武装の警察SWATチーム所属の特殊部隊員まで、幅広い作戦任務に対応することができる。

▲システム全体の構成。PTTスイッチ・ユニットから伸びるマイクロフォン・モジュールとサウンド・ウェーブ・モジュールのケーブルは独立している。

▲システムの中核であるマイクロフォン・モジュールとサウンド・ウェーブ・モジュール。 両モジュールには、それぞれ可動式の金属製小型クリップが設けられており、被服の襟元など目立たない場所を選んで装着運用することができる。

▲防水構造のマイクロフォン・モジュールには、周囲の雑音を低減するノイズ・キャンセリング機能が設けられ、高い音声品質を提供する。 固定用の金属製小型クリップは回転可動式で、装着の自由度は高い。

▲音声伝送品質と耐久性に優れたタクティカル・ブラック・サウンド・ウェーブ（FC R4イヤー・コイル）に接続されたイヤー・モールド。

▲先発のライバルメーカーであるTEA（Television Equipment Associates）社製のD型PTTスイッチ・ユニットに酷似した円筒形のラウンド・タイプPTT（Push to Talk）スイッチ・ユニットは、 ヘッドセットとラジオ・コネクターを結ぶ通信ケーブルの中間にあり、ストレート接続の一体式のため分離することはでない。 直径2インチの円筒形デザインに大型のPTTスイッチを備え、厚手のグローブなどを着用していも確実な送話が可能だ。 また、PTTスイッチは外周にある肉厚のプロテクション・リングによって保護され、銃のスリングなど装身具の接触による誤送信を防止するよう配慮されている。 クリック時の押下長が深く、クリック音の明確なTEA社製D型PTTスイッチに比べ、TCI社製PTTスイッチのクリック感は必要最小限であり、 送話時のクリック音が目立たないように配慮されている。

▲PTTスイッチ・ユニットの側面には、遠隔操作用のスナイパーPTTスイッチ・ユニットを接続するためのインターフェースが設けられている。 また、背面には面ファスナーのオス側が接着されており、メス側を備えるボディー・アーマーやタクティカル・ベストなどに直接固定することができる。 背面にメス側が備えられた付属のアリゲーター・クリップを接着すれば、装着の自由度はさらに広がる。 リップ先端内側にラバー・グリップが設けられたステンレス製で堅牢な大型アリゲーター・クリップを装着することで、 ボディー・アーマーやタクティカル・ベストなどのに装身具にPTTスイッチ・ユニットを強固に装着することができる。

▲ケーブルのラベルには、社名（TCI, Inc.）や10桁の会社電話番号、型番（SAS II）などが記載されている。

▲購入時の付属品一式。耐久性に優れたナイロン製の収納用ポーチ内には、ヘッドセット及びPTTスイッチ・ユニット・アッセンブリーに加え、 PTTスイッチ・ユニットをベストなどに固定するためのアリゲーター・クリップ、説明書などが付属する。

▲“SAS II”を装着した西側対テロ特殊部隊所属のオペレーター。 1993年に設立された米国の主要防弾装具メーカーのひとつであったFirst Choice Armor and Equipment（ファースト・チョイス・アーマー＆エクイプメント）社製の “Hostage Rescue Vest（ホステージ・レスキュー・ベスト）”を着用している。 なお、同社は2010年に米国の大手タクティカル・ギア・メーカーであるDIAMONDBACK TACTICAL（ダイアモンドバック・タクティカル）社に買収され、完全子会社となった。 難燃性生地を採用したアサルト・スーツを着用し、バリスティック・ヘルメットとしてGENTEX（ジェンテックス）社製“TBH II （Tactical Ballistic Helmet II）”を着用している。 プライマリー・ウェポンとして携行しているH&K社製“MP7A1”サブマシンガンには、 レール・システムを介してレーザー照準器を備えたSUREFIRE（シュアファイア）社製“X400”ウェポン・ライトと近接射撃向け光学照準器であるEOTech（イオテック）社製“モデル551 HWS（ホログラフィック・ウェポン・サイト）”を装着し、 銃口部分にはフラッシュハイダーに直接装着するQD（クイック・デタッチャブル）方式を採用したMP7シリーズ専用のB&T社製“Rotex-II”サウンド・サプレッサーを装着している。