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US M-1944 Sun,Wind and Dust Goggle

US M1944 ダストゴーグル

US M1944 ダストゴーグル “M-1944 Sun,Wind and Dust Goggle(ダストゴーグル)”は、米軍において1944年に制式採用された軍用ゴーグルだ。 第2次世界大戦終結後もベトナム戦争や湾岸戦争を始め、アメリカ軍が参戦した主要な戦争において、ダストゴーグルは兵士の基本的な個人装備の一種として支給されている。 ダストゴーグルは、その制式名称のとおり、日光や風雨、砂塵を始めとした塵や埃などから眼球を保護する基本的なアイプロテクターとしてデザインされており、車両搭乗員や戦闘員が着用する現代の軍用ゴーグルでは最も古典的なモデルだ。 耐衝撃性に優れたポリカーボネート製レンズを備えた近代的なタクティカルゴーグルが普及する1990年代まで、ダストゴーグルは第一線の米軍戦闘部隊でも広く運用されており、米軍の装備に倣う各国においても同様のゴーグルが広く採用された。 我が国の陸上自衛隊においても米軍と同型のダストゴーグルが「戦闘防塵眼鏡」の名称で採用され、戦闘用の個人装具を集約した戦闘装着セットの内容品のひとつになっている。 また、高品質で実用的なタクティカルゴーグルが市場に存在していなかった1990年代以前、米軍の余剰装備を使用することの多かった黎明期の米国法執行関係機関所属SWATチームでは、 米軍のダストゴーグルを人質救出作戦などの特殊作戦で使用するタクティカルゴーグルの代用として用いることが多かった。 米軍に制式作用されたダストゴーグルには、米国連邦政府補給品システム(FSS)で調達される品目に対して割り当てられるナショナル・ストック・ナンバー(National Stock Number)が指定されており、 採用から数十年間にわたって複数のメーカーが製造を担当している。 採用当初の前期型とは異なり、1974年から製造が開始された後期型(本品)には、スポンジ製フェイスパッドの追加やレンズ及びフレーム形状の僅かな変更などの改良が施され、 その後も耐衝撃性に優れたポリカーボネート製レンズ仕様などが登場したが、長年にわたる調達期間を経ても基本的なデザインそのものに大きな変化はない。

US M1944 ダストゴーグル

▲2点のスナップボタンで交換可能なシングルタイプのプラスチック製レンズを備え、軟質ラバーとシンセティック素材を用いたゴーグルフレームは本体重量約90gと見た目よりも軽量だ。 伸縮性に優れた幅20mmのゴーグルストラップは、簡素な構造ながら着用者に応じて任意にサイズ調整が可能であり、米軍のPASGTタイプを始めとしたバリスティック・ヘルメットなどの上からでも容易に着用できる。 また、顔面に触れるフェイスパッドは柔らかいスポンジ製で、 一般的な眼鏡との併用を可能とするため、ゴーグルフレームとフェイスパッドの 両端部には切り込みが設けられている。

US M1944 ダストゴーグル

▲標準装備のクリアレンズをニュートラルグレイカラーのスモークレンズに換装した仕様。 本来の防塵機能に加え、日中の行動などにおいて直射日光や有害な紫外線から眼球を保護するほか、 市街地戦闘やCQB (閉所空間における近接戦闘)などの状況で多用する機会の多いスタングレネード (特殊音響閃光手榴弾)が発する強力な閃光からの眼球防御にも有効である。 なお、ダストゴーグルに付属するプラスチック製レンズは、主に自然環境下における最低限度のアイプロテクションを提供する強度しか有しておらず、 現代のタクティカルゴーグルで一般的な耐衝撃性に優れたポリカーボネート製レンズのように、爆弾が爆発した際などに高速飛散する破片などへの防御は想定していない。 また、エアソフトガンから発射されるBB弾が至近距離で直撃すればレンズは容易に損傷するため、安全性の面からサバイバルゲームなどでダストゴーグルをアイウェアとして使用するのは適当ではない。