ハッチ・コーポレーションHatch Corporation1967年に米国で創設されたハッチ・コーポレーションは、高品質で革新的なタクティカル・グローブの開発によって、 警察SWATなどロー・エンフォースメント(法執行関係機関)向けタクティカル・グローブの市場において、先駆的存在として世界的知名度を誇るメーカーに成長した。 今日、ハッチは大手プロテクティブ・ギアメーカーとして、世界各国のプロフェッショナルに愛用される良質なグローブやプロテクティブ・パッド、 タクティカル・フード(バラクラバ)、ギア・バッグなど軍・警察向けの各種デューティー・ギアに加え、工業用や医療用など民間市場向けのプロテクティブ・ギアを提供している。 これらの製品は、生命の危険に直面するタクティカル・ユースへ常に最高の保護性能と耐久性能を提供するため、高品質の材料と最新の技術を駆使して製造されている。 代表的製品であるグローブは、パトロールオフィサー向けのクラシックなデザインを有するレザーグローブや防寒用グローブ、ドライバー向けのドライビング・グローブ、 ライダー向けのライディング・グローブ、シューター向けのシューティング・グローブ、特殊部隊向けのタクティカル・グローブなど、 常に第一線のプロフェッショナルが求める様々なニーズに応じ、多種多様な製品群を展開している。 なお、ハッチは2003年に防弾装具メーカーを中心に複数の子会社を有するアーマー・ホールディングス(旧アメリカン・ボディー・アーマー)に買収され(同社も2007年に英国の大手軍需企業のBAEシステムズに買収される)、 2008年以降に米国の複数のタクティカル・ギア・メーカーを傘下に有するBAEシステムズ・プロダクツ・グループが、 既に系列企業であり、総合タクティカル・ギア・メーカーとして世界市場で高いブランド・ロイヤルティを誇っていた“サファリランド”に社名を統一したことから、 2017年時点ではサファリランド・グループの系列企業となっている。 |
ハッチ ケブラー フライト KFG1000Hatch Kevlar Flight KFG1000米国の大手プロテクトギアメーカー“HATCH(ハッチ)”社製 の“ケブラーフライトグローブKFG1000”。 フライトグローブは戦闘機パイロットなど、主に航空機搭乗員用にデザインされた専用グローブの総称である。 フライトグローブは操縦機器の操作に支障をきたさないよう一定のグリッピング性能を保ちながら、 細かな作業にも対応できるように通常のレザーグローブなどに比較して薄手の生地が用いられている。 また、機内火災などにも対応できるよう生地には難燃繊維であるノーメックスなどが用いられ、耐熱性に優れているのも特徴だ。 元来、米軍をはじめとした航空機搭乗員向けに支給されていたフライトグローブだが、 これらのフライトグローブの有する優れた性能は地上で活動する対テロ特殊部隊のニーズと合致した。 ノーメックス生地のフライトグローブは、燃焼後に高温となるスタングレネードの使用や熱溶断などのサーマルブリーチングによる突入など、 高温の熱源から素手を保護するヒートプロテクションに適していたのだ。 また、現在のように特殊部隊向けに専用設計されたタクティカルグローブが満足に存在しなかった当時、 繊細な作業に適したフライトグローブは確実な銃器操作やトリガーフィーリングを求める対テロ特殊部隊や警察SWATなどの タクティカルオペレーターに好んで使用され、後のCQBオペレーション向けタクティカルグローブのデザインに大きな影響を与えた。 ハッチの製造する“KFG1000”は、完成度の高いフライトグローブのデザインをそのままに、CQBオペレーター向けに細かなモディファイを加えたモデルだ。 生地には抗弾素材として有名な100%のアラミド繊維系ブラックケブラーが用いられ、優れた耐切創性能に加え、高熱や火炎に対して摂氏400℃以上の難燃性能を有する。 これらのケブラー繊維は強度を高めるためにダブルステッチ加工で補強されている。 パーム(掌)部分には柔らかさが特徴のカウハイド(生後2年を経過した牝牛の皮革)が用いられ、 高いグリッピング性能を保持しながらグローブを着用していても素手の感覚に近い細かな作業が可能だ。 フライトグローブの完成形のひとつである“KFG1000”は、各国の対テロ特殊部隊や警察SWATにおいて使用されている。 |
▲“KFG1000”を装着した警察特殊部隊所属の捜査員。日本警察向けに吊環(ランヤード・リング)が追加装備された38口径官用回転式拳銃であるS&W社製M37エアウェイトを構えている。 弾薬は“.38 Smith & Wesson Special”に準拠しており、弾倉装弾数は5発だ。 |
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