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GENTEX Law Enforce Helmet

GENTEX(ジェンテックス)Law Enforce Helmet(ロウ・エンフォース・ヘルメット)

ジェンテックス

GENTEX

米国ペンシルバニア州シンプソンに本社を構える軍需物資メーカー“Gentex Corporation(ジェンテックス・コーポレーション)”は、 固定翼機及び回転翼機を含む航空機搭乗員用の高性能フライト・ヘルメット、 軍地上部隊やロー・エンフォースメント(法執行関係機関)向けバリスティック・ヘルメット・システムなどのPPE(Personal Protection Equipment:個人用保護装具)、 軍用コミュニケーション・デバイス・システムをなどを主要製品とし、 工業用ヒートシールドや消防用防火服などに使用されるアルミナイズド・ファブリックをはじめとした化学繊維加工技術のグローバル・リーダーとしても高い技術力を有している。 1894年、石炭産業で栄えたペンシルバニア州カーボンデールにおいてシルク繊維製造業からスタートした同社は、創業から100年以上の歴史を誇り、二つの世界大戦による特需に加え、 戦後は新技術獲得を目的とした戦略的な買収を繰り返すことで事業分野を拡大してきた。 第1次世界大戦が始まった1914年にはシルク製カートリッジバッグを製造、 第2次世界大戦を契機として1939年から1945年の間は米軍向けパラシュートやパラシュート輸送用コンテナなどの化学繊維製の高性能テキスタイル(織物)製品を納入、 大戦終結後の1948年からは繊維複合材料の技術を用いて、新しいジェット戦闘機パイロット向けフライト・ヘルメットの製造を開始、 1950年代後半からは耐熱防護を目的としたアルミナイズド・テキスタイル製品の製造を開始、 1969年からは酸素マスクなどの航空機搭乗員向け生命維持用レスピレーター・システムをはじめ、BC(化学・生物)防護用レスピレーター装備の製造を開始、 1977年にはヘルメット用の低ノイズ・高感度マイクを製造していたJMRシステムズ社を買収したことを契機として、軍用コミュニケーション・デバイス・システムの製造にも進出した。 その技術を活かして1990年代後半からは、米軍向けの車載用インター・コム・システムなどを製造している。 また、1980年代からは繊維複合材料の加工技術を活かし、当時最新のアラミド系高強度繊維であるケブラー(Kevlar)を用いた米軍向けPASGTヘルメットの主要納入業者のひとつとして防弾装具の製造を開始、 2000年代初頭からはPASGTヘルメットの更新モデルとして採用された米軍向けACH(Advanced Combat Helmet)をはじめとした軽量な高性能バリスティック・ヘルメットを多数納入した。 さらに、2011年には世界各国の特殊部隊で採用されているFASTバリスティック・ヘルメット・シリーズの製造で一躍有名になったOPS-CORE(オプス・コア)社を買収し、 特殊部隊向けモジュラー・ヘルメット・システムの製品ブランドを獲得している。 同社は米軍をはじめとした各国軍隊、特殊作戦部隊、警察SWATを含む全米のロー・エンフォースメント、消防、EMS(救急隊)、工業分野をキーマーケットとし、 主要顧客である米軍のほか、国際代理店を通じて世界各国に製品を輸出している。

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ロウ・エンフォース・ヘルメット

Law Enforce Helmet

米国の大手軍需物資メーカーのひとつであるジェンテックス・コーポレーション社製の“ロウ・エンフォース・ヘルメット”は、 その製品名の示すとおり、警察SWATなどの所属するロー・エンフォースメント(法執行関係機関)向けに製造された防弾ヘルメットだ。 同社は1980年代に米軍で制式採用され、 1990年代から世界的に主流になったPASGT(Personnel Armor System for Ground Troops:地上部隊個人防護システム)ヘルメットの主要製造企業のひとつであり、 本モデルも基本的なアウターシェルデザインは軍用のPASGTヘルメットに倣っている。 アウターシェル本体はケブラーを主体としたアラミド系高強度繊維のマルチレイヤーで成形され、 アーマー・ピアッシング(徹甲弾)などの特殊弾薬やサブマシンガンなどから発射される高初速の9oパラベラムFMJ弾などを除き、 .357マグナム弾をはじめとした大抵の拳銃弾の貫徹を防ぐNIJ規格レベルIIの抗弾能力(軍用のPASGTヘルメットと同等)を有している。 インナーデザインには、安定性と快適性に優れた3ポイント・サスペンション・ハーネス・システムを備え、 帽体内側と後頭部が接する箇所には着弾時の衝撃を吸収するウレタンフォーム製のショック・アブソービング・フォームパッドが設けられている。 本モデルには標準で暴動鎮圧作戦に用いるポリカーボネート樹脂製の着脱式ライオット・フェイスシールド(FS-40)が付属し、 抗弾能力の求められる通常のCQBオペレーションに加え、群衆整理・暴動鎮圧作戦などロー・エンフォースメントの対応する幅広い任務に対応することができる。 これは一般的な軍用・特殊作戦部隊向けのバリスティック・ヘルメットでは見られないロー・エンフォースメントの要望に応えた珍しい特徴のひとつだ。 本モデルは、全米の警察SWATオフィサーなどが加盟するNational Tactical Officers Association (NTOA) でも抗弾性能などがテストされ、 ロー・エンフォースメント向けのヘルメットとして推奨されていたバリスティック・ヘルメットのひとつで、 1990年代後半から2000年代前半にかけて警察をはじめとした全米の各種ロー・エンフォースメントにおいて数多く採用された。 警察SWATの始祖として名高いLAPD SWATを有するカリフォルニア州ロサンゼルス市警察(LAPD)でも本モデルが制式採用され、 群衆整理にあたる機動隊や特殊作戦を敢行するSWATチームを含む数多くのポリス・オフィサーに支給されていた。

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▲顎が接するチンハーネスには、当時各国の対テロ特殊部隊や警察SWATなどで主流であったRBR社製のバリスティック・ヘルメットと同様の柔らかい樹脂製の大型チンカップが設けられている。 チンカップはチンハーネスの両端に設けられた樹脂製のファステックスによって取り外すことが可能で、 製品に標準付属するガスマスク装面時用のストレート・チンハーネスに容易に換装することができる。

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▲アウターシェルデザインは1980年代から米軍で主流になったPASGT(Personnel Armor System for Ground Troops)ヘルメットのデザインに倣っており、 後頭部から側頭部にかけて防護面積を大きくとっているのが特徴だ。このデザインは防護能力に重きを置く警察SWATをはじめとした法執行関係機関にも好まれた。 本体重量はラージサイズが約1,800gで、シールド・アタッチメントの標準装備やショック・アブソービング・フォームパッド、 3ポイント・サスペンション・ハーネス・システムや大型のチンカップなどの追加装備が多い分、同サイズの軍用PASGTヘルメットよりも僅かに重い。

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▲安定性と快適性に優れた3ポイント・サスペンション・ハーネス・システムは3点支持方式のため、 付属のライオット・フェイス・シールドやNVD(暗視装置)などの重量物を装着しても高い安定性を発揮する。 ハーネス長の調整は本体側のハーネスではなく、チンカップ側に設けられたパイル・アンド・フック(面ファスナー)によって行う。 このような特徴的な調整方式は、同種のバリスティック・ヘルメットとしては非常に珍しい方式である。

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▲後頭部には着弾時の衝撃を吸収するウレタンフォーム製のショック・アブソービング・フォームパッドが設けられている。

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▲チンカップの両端には樹脂製のファステックスが設けられており、厚手のグローブを着用していても迅速な着脱が可能だ。

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▲大型のチンカップは、着用時の安定性や快適性に優れる利点があるが、特殊作戦に不可欠なガスマスクを装面した際に邪魔になる場合があり、 この問題に対応するため、製品にはガスマスク装面時用のストレート・チンハーネスが標準付属する。 ガスマスクを使用する機会の多いSWATチームなどでは、標準の大型チンカップから換装し、常時ストレート・チンハーネスを装備したまま運用する場合が多い。

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▲標準で付属する“FS-40”ライオット・フェイスシールドをヘルメットの両側端に設けられたアタッチメントを介して装着した状態。 ライオット・フェイスシールドは抗弾能力を有するバリスティック・フェイスシールドとは異なり、基本的に抗弾能力をもたないため、 主に銃器の使用が想定されていない群衆整理・暴動鎮圧作戦などで使用される(ポリカーボネート樹脂の性質上、低威力の小口径弾や散弾程度は貫徹を防ぐ場合がある)。

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▲ライオット・フェイスシールドはヘルメットの両側端に設けられたアタッチメントを介して、金属製のステーを付属の固定用ネジで装着する。 5mmの肉厚を有する堅牢なポリカーボネート樹脂製のシールドは、 米国司法省の装備調達基準として国立司法省研究所(NIJ:National Institute of Justice)が定めたライオット・ヘルメットとライオット・フェイスシールドについての標準テストプロトコル(NIJ Standard 0104.02)に準拠しており、 暴徒による殴打や打撃、投石などの投擲部などから顔面を保護する。 フェイスシールドの重量は、金属製のステーを含んで約350gだ。

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▲フェイスシールドを跳ね上げた状態。跳ね上げ角度は、固定用ネジの締め具合によって任意に調整可能だ。

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▲3ポイント・サスペンション・ハーネス・システムや大型のチンカップによって、フェイスシールドを装着しても安定性を損なうことはない。

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▲標準の大型チンカップとガスマスク装面時用のストレート・チンハーネス。

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▲バリスティック・ヘルメット用の一般的なチンカップは、薄い樹脂だけで成形されたシンプルな仕様が多いが、 本モデルでは樹脂製のチンカップの内側に柔らかいウレタンフォームが備えられ、さらに顎が接する部分には皮革が設けられているため、着用時の快適性は一段と高い。

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▲本モデルの付属品一式。販売先の法執行関係機関には、これらに取扱い説明書を加え、ダンボール箱に箱詰めされた状態で納入される。

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▲インナーシステムには、軍用のPASGTヘルメットと同様のハンモック式を採用しているが、 3点支持方式で安定性と快適性に優れた3ポイント・サスペンション・ハーネス・システムを備え、 帽体内側と後頭部が接する箇所には着弾時の衝撃を吸収するウレタンフォーム製のショック・アブソービング・フォームパッドが設けられている。 肉厚のあるパッドによって、通常のPASGTヘルメットより一回り大きいサイズを選択する必要がある。

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▲後頭部のウレタンフォーム製のショック・アブソービング・フォームパッド。 軍用のPASGTヘルメット向けオプションパーツとして米軍で支給されていた空挺用パッドに似ている。 厚みがあり後頭部に密着するため、衝撃吸収効果だけでなく、ヘルメット着用時の安定性向上にも加味する。

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▲帽体内側に貼付されたメーカーラベル。

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▲帽体内側に貼付された製品ラベル。メーカー名(Gentex Corporation)及び所在地(ペンシルバニア州カーボンデール)、製品名(Law Enforce Helmet)、 プロダクツナンバーとオーダーナンバー、製造日、サイズ、などが記載されている。 なお、帽体のサイズはスモール、ミディアム、ラージ、Xラージがラインナップされ、 警察SWATなどが所属する法執行関係機関向けの製品であったことから帽体のカラーはブラックのみであった。

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▲ロー・エンフォース・ヘルメットは、全米の警察SWATオフィサーなどが加盟するNational Tactical Officers Association (NTOA) でも抗弾性能などがテストされ、 NTOAから法執行関係機関向けのヘルメットとして推奨されていたバリスティック・ヘルメットのひとつで、 1990年代後半から2000年代前半にかけて警察をはじめとした全米の各種法執行関係機関において数多く採用された。 警察SWATの始祖として名高いLAPD SWATを有するカリフォルニア州ロサンゼルス市警察(LAPD)でも本モデルが制式採用され、 群衆整理にあたる機動隊や特殊作戦を敢行するSWATチームを含む数多くのポリス・オフィサーに支給されていた。 なお、このような支給品のヘルメットには管理番号の記載されたシールが貼付されるのが一般的だ。

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