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PROTECH Delta 3 Ballistic Helmet

PROTECH(プロテック)Delta 3 バリスティック・ヘルメット

プロテック

PROTECH

PROTECH TACTICAL(プロテック・タクティカル)Delta 4 バリスティック・ヘルメット 米国の大手防弾装具メーカーのひとつであるプロテック(PROTECH)は、 1983年にマサチューセッツ州ピッツフィールドを拠点にプロテック・アーマード・プロダクツ(PROTECH Armored Products, Inc.)として設立された。 特殊作戦を担う警察SWAT向けタクティカル・ボディー・アーマーやバリスティック・ヘルメット、バリスティック・フェイス・シールド、 高初速ライフル弾対応のハード・アーマー・プレート、バリスティック・シールドをはじめとした高性能な各種防弾装具を製造し、 米国内のローエンフォースメント(法執行関係機関)コミュニティーにおいてトップサプライヤーとしての地位を確立した。

その後、プロテックは老舗防弾装具メーカーで著名なアメリカン・ボディー・アーマー(American Body Armor and Equipment, Inc.:ABA)が母体となって 1996年に設立された持株会社であるアーマー・ホールディングス(Armor Holdings, Inc.)に買収され、その系列企業となった。 アーマー・ホールディングスはフロリダ州ジャクソンビルに本社を置き、11年間の歳月をかけてプロテックを含む サファリランド(SAFARILAND)、ハッチ(HATCH)、ビアンキ(BIANCHI)、モナドノック(MONADNOCK)、セカンドチャンス(SECOND CHANCE)、 ディフェンス・テクノロジー(DEFENSE TECHNOLOGY) といった米国の主要なデューティー・ギア・メーカーや防弾装具メーカーを次々に買収し、これらを子会社として経営傘下におさめていった。

さらに、2007年5月7日、アーマー・ホールディングスは系列企業と共に英国の大手軍需企業であるBAEシステムズに約41億ドルで買収される。 その後、2008年以降に米国の複数のタクティカル・ギア・メーカーを傘下に有するBAEシステムズ・プロダクツ・グループは、 既に系列企業のひとつであり、総合タクティカル・ギア・メーカーとして世界市場で高いブランド・ロイヤルティを誇っていた“サファリランド”に社名を統一したため、 2015年時点ではプロテックはサファリランド・グループの系列企業となっている。 なお、プロテック・グループは個人用防弾装具を製造するプロテック・タクティカル(PROTECH TACTICAL)と 防弾仕様のガードブースやガードタワー、車両や船舶、航空機用のカスタム・ハード・アーマーを製造するプロテック・アーマー・システムズ(PROTECH ARMOR SYSTEMS)の二部門を有している。 プロテックは、長年の自社研究において常に高性能な防弾装具を必要とする世界各国のミリタリー及びローエンフォースメントからの意見を製品設計に反映し、 年々進化する様々な脅威に対応できるよう最新の技術と高品質な材料で製品を製造している。

デルタ 3 バリスティック・ヘルメット

Delta 3 Ballistic Helmet

米国の大手防弾装具メーカーのひとつであるプロテック・アーマード・プロダクツ(現プロテック・タクティカル)社製の“Model 775 Delta 3 バリスティック・ヘルメット”は、 1980年代に米軍で制式採用され、1990年代から世界的に主流になったPASGT(Personnel Armor System for Ground Troops:地上部隊個人防護システム)ヘルメットのアウターシェルデザインに倣い、 抗弾性能の向上と軽量化を図った対テロ特殊部隊や警察SWAT向けの防弾ヘルメットだ。 アウターシェル本体は軽量な高性能アラミド系繊維のマルチレイヤーで成形され、アーマー・ピアッシング(徹甲弾)などの特殊弾薬を除き、 サブマシンガンなどから発射される高初速の9oパラベラムFMJ弾や.44マグナム弾など大抵の拳銃弾の貫徹を防ぐNIJ規格レベルIIIAの抗弾能力を有している。 インナーデザインには、安定性と快適性に優れた3ポイント・アジャスタブル・サスペンション・システムを備え、 前頭部と後頭部が接する箇所には着弾時の衝撃を吸収するショック・アブソービング・フォームパッドが設けられている。 当時主流であった軍用のPASGTヘルメットよりも軽量で高い抗弾性能を誇ったCQBオペレーション向けのDelta 3は、 1990年代後半から2000年代前半にかけて全米の警察SWATをはじめとした各種法執行関係機関や米軍の一部特殊部隊にも採用され、 米海軍所属のNavy SEALsにおいても使用が確認されている。

PROTECH(プロテック)Delta 3 バリスティック・ヘルメット

▲顎が接するチンハーネスには、当時主流であったRBR社製のヘルメットと同様の柔らかい樹脂製のフレキシブル・チンカップが設けられている。

PROTECH(プロテック)Delta 3 バリスティック・ヘルメット

PROTECH(プロテック)Delta 3 バリスティック・ヘルメット

▲アウターシェルデザインは1980年代から米軍で主流になったPASGT(Personnel Armor System for Ground Troops)ヘルメットのデザインに倣っており、 後頭部から側頭部にかけて防護面積を大きくとっているのが特徴だ。このデザインは防護能力に重きを置く警察SWATをはじめとした法執行関係機関にも好まれた。 本体重量はLサイズで約1,360gで、同サイズの軍用PASGTヘルメットよりも抗弾能力を上回りながら軽量である。

PROTECH(プロテック)Delta 3 バリスティック・ヘルメット

▲安定性と快適性に優れた3ポイント・アジャスタブル・サスペンション・システムは、着用者に合わせて各部の微調整が可能だ。 3点支持方式のため、NVD(暗視装置)やバリスティック・フェイス・シールドなどの重量物を装着しても高い安定性を発揮する。

PROTECH(プロテック)Delta 3 バリスティック・ヘルメット

PROTECH(プロテック)Delta 3 バリスティック・ヘルメット

PROTECH(プロテック)Delta 3 バリスティック・ヘルメット

▲チンハーネスの着脱には、パイルアンドフック(面ファスナー)とスナップボタンの2種類を用いた独自の固定方式が用いられており、当時のPROTECH社製ヘルメットの特徴のひとつである。

PROTECH(プロテック)Delta 3 バリスティック・ヘルメット

▲ハーネスには、安定性能と快適性に優れた3ポイント・アジャスタブル・サスペンション・システムを備え、 前頭部と後頭部が接する箇所には着弾時の衝撃を吸収する柔らかいショック・アブソービング・フォームパッドが設けられている。 また、頭頂部には衝撃緩和に加え、空気循環の空間を設けるためのスポンジ製パッドが設けられているため、長時間の着用でも快適性を損なわない。

PROTECH(プロテック)Delta 3 バリスティック・ヘルメット

▲帽体内側に貼付された製品ラベル。メーカー名(“PROTECH Armored Products, Inc.”の当時の親会社である“Armor Holdings, Inc.”表記)と“Model 775”の型番表記、 ロットナンバーとシリアルナンバー、サイズ、抗弾性能(NIJ規格レベルIIIA)などが記載されている。 また、末尾に“Manufactured by Rabintex”と表記があり、 イスラエルの老舗大手防衛装備メーカーとして著名な“Rabintex Industries Ltd.(ラビンテックス・インダストリーズ)”に製造を委託したOEM(相手先ブランド名製造)製品であることが分かる。 なお、帽体のサイズはスモール、ミディアム、ラージ、Xラージがラインナップされ、 警察SWATなど法執行関係機関向けの製品であったことから帽体のカラーはブラックのみであった。

PROTECH(プロテック)Delta 3 バリスティック・ヘルメット / 特殊班捜査係(SIT)

▲米軍で主流となったPASGTヘルメットのデザインに倣い軽量で高い防護性能を誇った“Delta 3”ヘルメットは、主に米国内の法執行関係機関向けに販売され、 全米の警察SWATをはじめとして、米海軍所属のNavy SEALsなどCQBオペレーションを専門とする一部の軍特殊部隊にも採用された。 また、同社の製品は各国の法執行関係機関向けにも広く販売され、 日本の各都道府県警察警備部に所属する銃器対策部隊や刑事部に所属するSIT(特殊捜査班)をはじめとした警察特殊部隊においても“Delta 3”を含む同社の製品の採用が確認されている。

PROTECH(プロテック)Delta 3 バリスティック・ヘルメット / 特殊班捜査係(SIT)