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SPP Infantry Combat Helmet 2nd Model

SPP インファントリー・コンバット・ヘルメット 後期型

インファントリー・コンバット・ヘルメット 後期型

Infantry Combat Helmet 2nd Model

1969年に設立され、米国ペンシルバニア州ダンモアに本社を構えていた軍需製品メーカーであるSPP(Specialty Plastic Products Inc.)社製の“Infantry Combat Helmet(インファントリー・コンバット・ヘルメット):歩兵戦闘ヘルメット”は、 1980年代に米軍で制式採用され、1990年代から世界的に主流になったPASGT(Personnel Armor System for Ground Troops:地上部隊個人防護システム) ヘルメットのアウターシェルデザインを有する軍地上部隊などのミリタリーユースや法執行関係機関向けの防弾ヘルメットだ。 SPP社はPASGTヘルメットが米軍に制式採用された1980年代から、Gentex社などに並び複数ある米軍向けPASGTヘルメットの納入業者のひとつとして、 防弾ヘルメットやインナー・サスペンション・システムなどの周辺アクセサリーを製造している。 なお、SPP社は1990年代後半にABA(アメリカン・ボディー・アーマー)が母体となった持株会社であるアーマー・ホールディングスに買収され、 その後英国の大手軍需企業であるBAE Systemsの子会社となり、社名をSDS(Specialry Defense Systems)に改名している。 同社は防弾装具の製造以外にも米軍向けのナイロン製ロードキャリング・ギアの納入でも知名度が高い。 アウターシェル本体は軍用のPASGTヘルメットと同じく、ケブラーを主体としたアラミド系繊維のマルチレイヤーで成形され、アーマー・ピアッシング(徹甲弾)などの特殊弾薬を除き、 一般的な9oパラベラムFMJ弾や.357マグナム弾など大抵の拳銃弾の貫徹を防ぐNIJ規格レベルIIの抗弾能力を有している。 同モデルは軍用のPASGTヘルメットと同じ2点支持方式のチンハーネスを備えた初期生産型が1990年代に販売され、 従来軍用のPASGTヘルメットを代用していた全米の警察SWATをはじめ、各種法執行関係機関所属のタクティカル・ユースに広く採用された。 2000年代前半には、本頁に記載する後期生産型が販売されている。 後期生産型ではスエード製ヘッドバンドの設けられたインナーデザインは初期生産型と共通の仕様だが、 サスペンション・ハーネスはPASGTヘルメット向けのアップグレードパーツとして同社が製造していた3点支持方式の3ポイント・アジャスタブル・サスペンション・システムに変更されており、 2点支持方式が主流の軍用のPASGTヘルメットより着用時の高い安定性と快適性を提供する。

SPP インファントリー・コンバット・ヘルメット 後期型

▲顎が接するチンハーネスは樹脂製のチンカップなどを備えない伝統的な仕様だが、これはガスマスクなどを装面する際にチンカップの干渉を受け難い利点がある。 樹脂製のファステックスが装備されたクイック・リリース・タイプのため、 厚手の手袋などを着用していても迅速な着脱が可能だ。

SPP インファントリー・コンバット・ヘルメット 後期型

SPP インファントリー・コンバット・ヘルメット 後期型

▲アウターシェルデザインは1980年代から米軍で主流になったPASGT(Personnel Armor System for Ground Troops)ヘルメットのデザインに倣っており、 後頭部から側頭部にかけて防護面積を大きくとっているのが特徴だ。このデザインは防護能力に重きを置く警察SWATをはじめとした法執行関係機関にも好まれた。 本体重量(Mサイズ)は約1,550gで、同サイズの軍用PASGTヘルメットとほぼ同一である。 また、帽体のカラーは警察SWATなど法執行関係機関向けのブラックのほか、ミリタリーユース向けにレンジャーグリーンとデザートタンがラインアップされていた。

SPP インファントリー・コンバット・ヘルメット 後期型

▲安定性と快適性に優れた3ポイント・アジャスタブル・サスペンション・システムは、着用者に合わせて各部の微調整が可能だ。 側頭部に加えて後頭部も支える3点支持方式のため、NVD(暗視装置)やバリスティック・フェイス・シールドなどの重量物を装着しても高い安定性を発揮する。

SPP インファントリー・コンバット・ヘルメット 後期型

SPP インファントリー・コンバット・ヘルメット 後期型

SPP インファントリー・コンバット・ヘルメット 後期型

▲チンハーネスには、信頼性の高いYKK(旧吉田工業株式会社)社製のファステックスが用いられているため、迅速な着脱が可能だ。

SPP インファントリー・コンバット・ヘルメット 後期型

▲スエード製ヘッドバンドの設けられたインナーデザインは、軍用のPASGTヘルメットと共通の標準的な仕様だが、 サスペンション・ハーネスは同社がPASGTヘルメット向けのアップグレードパーツとして製造していた3点支持方式の3ポイント・アジャスタブル・サスペンション・システムを標準装備しており、 2点支持方式のPASGTヘルメットより着用時の高い安定性と快適性を発揮する。 また、頭頂部には衝撃緩和に加え、空気循環の空間を設けるためのスポンジ製パッドが設けられているため、長時間の着用でも快適性を損なわない。

SPP インファントリー・コンバット・ヘルメット 後期型

▲帽体内側の印字。会社名(SPP:Specialty Plastic Products Inc.)と所在地(ペンシルバニア州ダンモア)、製造国(米国)が表記されている。

SPP インファントリー・コンバット・ヘルメット 後期型

▲帽体内側の別の位置に印字されている製品名とサイズの表記。

SPP インファントリー・コンバット・ヘルメット 後期型 / 特殊急襲部隊(SAT)

▲PROTECH社製のモデル“702L”バリスティック・フェイス・シールドを装着したSPP社製のインファントリー・コンバット・ヘルメット(後期型)を着用するオペレーター。 軍用のPASGTヘルメットと同一のデザインを有しながら、3ポイント・アジャスタブル・サスペンション・システムにより、NVD(暗視装置)やバリスティック・フェイス・シールドをはじめとした重量物を装着しても高い安定性を発揮する。 同モデルは1990年代から2000年代前半にかけて、従来軍用のPASGTヘルメットを代用していた全米の警察SWATをはじめ、各種法執行関係機関所属のタクティカル・ユースに採用された。

SPP インファントリー・コンバット・ヘルメット 後期型 / 特殊急襲部隊(SAT)