平成23年8月27日 陸上自衛隊 平成23年度富士総合火力演習(その3)

イベントリポート

Event Report

87式自走高射機関砲

Type 87 SPAAG (Self-Propelled Anti-Aircraft Gun)

2011年8月27日 陸上自衛隊 平成23年度富士総合火力演習

▲対空火力の部において登場した87式自走高射機関砲。74式戦車をベースとした車体に、2連装の大口径対空機関砲と目標を補足するための高性能レーダーシステム、 射撃統制装置などの各種コンピュータを搭載した日本版「ゲパルト自走対空砲」といった存在で、無限軌道の採用によって機甲部隊に随伴する能力があります。 自衛隊での略称は「87AW」、愛称は「スカイシューター」、またの名を「ガンタンク」あるいは「ハエ叩き」。

2011年8月27日 陸上自衛隊 平成23年度富士総合火力演習

▲1両の調達費が約15億円と主力戦車を大幅に上回る高価格であることから、調達は初期を除いて年間1〜2両の低調が続き、 最終調達が終了した平成14年度までに僅か52両しか生産されていないレアな車両です。

2011年8月27日 陸上自衛隊 平成23年度富士総合火力演習

▲砲塔の左右にエリコン社(現ラインメタル社)KDA 35mm対空機関砲を2門装備。 後部の水平に設置された横棒状の回転式アンテナが索敵用レーダーで、その前にある皿状のアンテナが追尾用レーダーです。

87式自走高射機関砲 エリコンKDA 35mm対空機関砲実弾射撃

Type 87 SPAAG (Self-Propelled Anti-Aircraft Gun) Oerlikon KDA 35mm Twin Cannon

▲35mm機関砲の実弾射撃。本来は低高度で侵入した対空目標への攻撃を目的とした装備ですが、 水平射撃で敵のAH(攻撃ヘリ)に見立てた地上目標への射撃を行います。大口径機関砲の威力は絶大です。

UH-60JA 多用途ヘリコプター

Mitsubishi UH-60JA Black Hawk utility helicopter

2011年8月27日 陸上自衛隊 平成23年度富士総合火力演習

▲リペリング降下実施後、離脱するUH-60JAブラックホーク。

CH-47J 大型輸送ヘリコプター

Kawasaki CH-47J Chinook heavy-lift helicopter

2011年8月27日 陸上自衛隊 平成23年度富士総合火力演習

▲会場上空に2機のCH-47Jチヌークが飛来。

2011年8月27日 陸上自衛隊 平成23年度富士総合火力演習

▲2枚の大型タンデムローターから発せられる強力なダウンウォッシュで、大量の砂埃が舞い上がります。

高機動車

Toyota HMV

2011年8月27日 陸上自衛隊 平成23年度富士総合火力演習

▲着陸後、後部ランプドアから高機動車が進出。車幅は機内の内壁とギリギリです。

2011年8月27日 陸上自衛隊 平成23年度富士総合火力演習

▲高機動車には完全武装の普通科小隊が乗車していました。

2011年8月27日 陸上自衛隊 平成23年度富士総合火力演習

▲89式5.56mm小銃を手にした隊員は、前方に銃口を向け警戒します。

2011年8月27日 陸上自衛隊 平成23年度富士総合火力演習

▲ヘリから離脱後、スピードを上げて疾走する高機動車。

2011年8月27日 陸上自衛隊 平成23年度富士総合火力演習

▲隊員は88式鉄帽とODカラーのバラクラバを着用しています。

軽装甲機動車

Komatsu LAV (Light Armoured Vehicle)

2011年8月27日 陸上自衛隊 平成23年度富士総合火力演習

▲軽装甲機動車の車上ハッチに設置した5.56mm機関銃MINIMIの実弾射撃の様子。

2011年8月27日 陸上自衛隊 平成23年度富士総合火力演習

▲こちらのMINIMIには専用の照準眼鏡(スコープ)が装備されています。

87式偵察警戒車

Type 87 RCV (Reconnaissance Vehicle)

2011年8月27日 陸上自衛隊 平成23年度富士総合火力演習

▲威力偵察任務などに使用される87式偵察警戒車。自衛隊での略称は「87RCV」、愛称は「ブラックアイ」。 自衛隊初の装輪式装甲車である82式指揮通信車の設計技術を流用し、基本的な車体構造を共有しています。 整地上では最高速度100km/hで走行することが可能で、高速道路網を使用することで迅速な展開が可能。 コンバットタイヤ(ランフラットタイヤ)の採用により、タイヤが被弾した場合でも一定距離の持続走行ができます。

2011年8月27日 陸上自衛隊 平成23年度富士総合火力演習

▲上部の回転式砲塔には、25x137mm機関砲弾に準拠したスイスのエリコン(現ラインメタル)社製 KBA 25mm機関砲(80口径・ガス圧作動方式)を装備しており、 徹甲弾と榴弾の2種類の弾種を使い分けることが可能。有効射程は約2,000mに達し、非装甲車両及び軽装甲車両、対人目標などに対して絶大な威力を発揮します。

92式地雷原処理車

Type 92 MCV (Mine Clearing Vehicle)

2011年8月27日 陸上自衛隊 平成23年度富士総合火力演習

▲地雷原の処理に用いられる92式地雷原処理車。自衛隊での略称は「MCV」、愛称は「マインスイーパー」。 ワイヤーで結束された26個の爆薬ブロックを内蔵した処理用ロケット弾を投射し、投射線上に落下した爆薬ブロックの同時起爆により、地雷原を広範囲に爆破処理。 迅速かつ安全に見方部隊の進路を啓開します。

2011年8月27日 陸上自衛隊 平成23年度富士総合火力演習

▲爆薬ブロック爆発の瞬間。92式地雷原処理車は、主に全国の施設科部隊に配備されています。

89式装甲戦闘車

Mitsubishi Type 89 IFV (Infantry Fighting Vehicle)

2011年8月27日 陸上自衛隊 平成23年度富士総合火力演習

▲陸上自衛隊初の歩兵戦闘車(Infantry Fighting Vehicle:IFV)として開発された89式装甲戦闘車。自衛隊での略称は「89FV」、愛称は「ライトタイガー」。 戦闘員の輸送を主目的とした装甲兵員輸送車(Armoured Personnel Carrier:APC)に対し、IFVは機甲部隊と行動を共にできるよう戦車と同等の不整地走破能力(無限軌道による装軌車両)を有し、 積極的な戦闘参加を前提として大口径の機関砲や対戦車ミサイルなどの強力な武装を搭載、そして通常のAPCより堅牢な装甲防護力を備えています。 調達価格が1両約7億円と主力戦車に迫る高価格であることから、調達数は少数に止まっており、全国でも68両しか配備されていません。

2011年8月27日 陸上自衛隊 平成23年度富士総合火力演習

▲主要武装は砲塔に装備されたエリコン社の90口径35mm機関砲KDE、さらに砲塔の両脇に79式対舟艇対戦車誘導弾(重MAT)の発射機を計2基装備。 主砲である35mm機関砲は、APDS(装弾筒付徹甲弾)とHEI(焼夷榴弾)の2種類の弾種を運用でき、地上目標に加えて対空目標への射撃も可能となっています。

エリコン90口径35mm機関砲KDE

Oerlikon Contraves 35 millimeter caliber dual feed cannon

2011年8月27日 陸上自衛隊 平成23年度富士総合火力演習

▲複数の89式装甲戦闘車から発射された35mm機関砲弾。曳光弾によって弾道の軌跡が分かります。

2011年8月27日 陸上自衛隊 平成23年度富士総合火力演習

▲見事目標に着弾。着弾の衝撃で砂塵が10m以上の高さまで舞い上がります。実に強力な破壊力です。

74式戦車

Mitsubishi Type 74 MBT

2011年8月27日 陸上自衛隊 平成23年度富士総合火力演習

▲三菱重工業が開発した国産の第2世代戦車である74式戦車。最高速度53km/h。全備重量38t。主砲に英国のロイヤルオードナンス社製 L7A1 51口径105mmライフル砲を搭載しています。 制式採用から40年近くが経過していますが、数の上では次代の90式戦車を上回り、依然として我が国の主力戦車であります。

2011年8月27日 陸上自衛隊 平成23年度富士総合火力演習

▲特徴的な油気圧サスペンションによる姿勢制御機能により、車体前部を下降、車体後部を上昇させ、稜線射撃を実施する74式戦車。 これにより、敵に対する車体の前面投影面積を必要最小限にすることが可能で、待ち伏せ攻撃などを優位に行うことができます。 専守防衛に特化した戦術と言えます。

74式戦車 51口径105mmライフル砲L7A1 実弾射撃

Mitsubishi Type 74 MBT Royal Ordnance L7A1 105mm Rifled Gun

▲74式戦車による105mmライフル砲実弾射撃の様子。

90式戦車

Mitsubishi Type 90 MBT

2011年8月27日 陸上自衛隊 平成23年度富士総合火力演習

▲三菱重工業が開発した国産の第3世代戦車である90式戦車も登場。 最高速度70km/h、全備重量50トン。最大出力1500馬力を有する重低音のエンジン音が会場に響き渡ります。 デジタル制御された高性能射撃統制装置と各種環境センサー、照準具安定装置、自動装填装置などの組み合わせにより、走行間射撃をはじめとした高精度射撃を実現し、 さらにセラミック系複合装甲の採用による高い防御能力を誇ります。

2011年8月27日 陸上自衛隊 平成23年度富士総合火力演習

▲主砲には日本製鋼所がライセンス生産したラインメタル社の44口径120mm滑腔砲を搭載。 装弾筒付翼安定徹甲弾(APFSDS:Armor-Piercing Fin-Stabilized Discarding Sabot)と多目的対戦車榴弾(HEAT-MP:High-Explosive Anti-Tank Multi-Purpose) の2種類の弾種を運用します。照準具安定装置の自動追尾機能と油気圧サスペンションにより、走行間でも正確に長距離の目標を追尾・攻撃することができます。

2011年8月27日 陸上自衛隊 平成23年度富士総合火力演習

▲実弾での走行間射撃を実施する90式戦車。一瞬ではありますが、巨大なファイアボールは目視でも確認できるほど。 「バアン!!」離れた場所でも思わず身構えるほどの射撃音は、その爆音だけで戦意を失います。

90式戦車ラインメタル44口径120mm滑腔砲実弾射撃

Mitsubishi Type 90 MBT Rheinmetall 120mm Smoothbore Gun

▲90式戦車に装備されたラインメタル社の44口径120mm滑腔砲実弾射撃の様子です。

74式戦車・90式戦車・89式装甲戦闘車

Mitsubishi Type74 MBT / Type 90 MBT / Type 89 IFV

▲後段演習・第一線部隊の攻撃に参加した74式戦車、90式戦車、89式装甲戦闘車です。

2011年8月27日 陸上自衛隊 平成23年度富士総合火力演習

▲とりあえず以上で状況終了。帰路につく観客や移動する自衛隊員で再び大混雑です。

救急車

Ambulance

2011年8月27日 陸上自衛隊 平成23年度富士総合火力演習

▲帰り道、傷病人搬送用に駐屯地業務隊で使用される救急車が待機していました。 野戦用には73式中型トラックをベースにした1トン半救急車が使用されるのに対し、こちらの救急車は主に駐屯地内で使用されます。

覆面パトカー

Unmarked car

2011年8月27日 陸上自衛隊 平成23年度富士総合火力演習

▲最後に警務隊の使用する覆面パトカー(日産ブルーバードシルフィ)と白バイ(ホンダCB400P)を発見。警察の警護車などと同様の仕様で、反転式の流線型赤色警光灯や前面赤色警光灯が装備されています。

2011年8月27日 陸上自衛隊 平成23年度富士総合火力演習

▲本日はこれにて撤収。ご一読いただき、ありがとうございました。それでは!

戻る トップ