平成21年4月19日 陸上自衛隊高田駐屯地創設59周年記念行事

イベントリポート

EVENT REPORT

2009年4月19日 陸上自衛隊高田駐屯地創設59周年記念行

■ Introduction

去る2009年4月19日、SETメンバー(といっても今回は2人だけですが…)で新潟県上越市陸上自衛隊高田駐屯地 において開催された創設59周年記念行事に行ってきました。いわゆる駐屯地祭ですが、今回出陣した会長 とヤマも自衛隊関連の行事に出向くのは初体験。というか地元周辺では在日米軍は無論、自衛隊ですら 日常生活で目にすることは全くないため、間接的にせよ直接的にせよ自衛隊に接するのは災害派遣で お世話になった中越地震以来のことになります。 今までは県内にも一応自衛隊の駐屯地があるんだなという軽い感覚で駐屯地祭など特に積極的に足を運ぶような ことは考えていませんでしたが、今年の4月から100年に一度の全世界的な大不況に伴う日本政府の緊急経済対策の 一環として高速道路の一律上限千円政策が施行され、この際いい機会だから千円で駐屯地祭に行ってみようという運び になりました。 最後に今回の反省点なんですが、今回使ったカメラは普段のサイト用ミリタリーフォトの撮影に使っている標準レンズのもので 普段使わないので望遠レンズを持っておらず、近撮の装備展示はまだしも観客席から離れた模擬戦の撮影には相当苦心しました。 そのため模擬戦など記載の写真の一部は何とかデジタルズームで引き伸ばしたものなので荒いものもありますがご容赦を。 やはりこういったイベントには最低でも200mm以上の望遠レンズは必須のようです。 来年も機会があれば是非とも再び駐屯地祭に訪れたいと思うので、それまでには調達装備リストに加えておきます。 それでは詳細はレポートにて!

補足:高田駐屯地は主に第5施設群と第2普通科連隊などが駐屯し、隊員の多くが普通科および施設科職種です。 そのため駐屯地祭でも戦闘車両以外に施設科の建設車両を多く見ることができます。 駐屯地そのものは旧日本軍時代からの歴史を誇るため一部の旧軍の木造隊舎は現役も使用されており、今年で 開設100周年を迎えます。詳細は陸上自衛隊第5施設群 高田駐屯地公式サイトにてをご覧ください。

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▲早朝0800時に自宅を出発。途中でヤマを乗せ、小千谷ICから高速に向かいます。。。 が…早速ミスりました。新潟方面に向かうはずがIC直後の分岐を間違えて関越道を南下、 結局最寄りの川口ICまで行って再度新潟方面に向かいました。これで15分のロス(汗。

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▲長岡ICを過ぎて直ぐにある長岡JCで上信越道へ。上越高田ICまで向かいます。

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▲なんやかんやで自宅出発から1時間半近くが経過した0900時に上越市に到着。

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▲ナビに従って高田駐屯地前まで行ったものの一般車両は駐車不可とのこと。 近くのコンビニで看板を見ながら駐車場探しをして、やっとこさ見つけた郊外の特設駐車場に駐車。

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▲駐車場から徒歩で高田駐屯地まで向かいます。結構な距離です。この日は晴天で高田駐屯地近くの高田公園の祭りの 最終日も重なって多くに人々が町を出歩いています。

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▲約15分程度歩き続けてようやく高田駐屯地正門に到着。初めて足を踏み入れます。

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▲現在時刻1024時。9時開門なので当然のことながら会場は大勢の人々で溢れています。 う〜ん、少し出遅れた感があるような。まぁメインの模擬戦は11時過ぎなので良しとします。

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▲記念式典は1000時から1115時までなので既に部隊入場済み。ここで、とりあず長旅で溜まった用を足すため 案内に従い正門入ってすぐの1号隊舎のトイレへと向かうことに。

模擬戦車

Enemy Tank ?

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▲トイレに向かう途中に遭遇した本日の影の主役である敵対抗部隊の主力戦車。 見りゃわかりますが高機動車をベースにしています。サバゲとかでかなり使えそうですね。 ちなみに後ろで待機しているフェイスペイントが厳つい隊員の方々が本日のアグレッサーです。

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▲出すもの出したら式典会場のグラウンドに向かいます。こちらは待機中の高機動車。

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▲人気のスタンド席は既に満員御礼状態。仕方ないのでスタンド席の横でロープ越しに立ち見することに。 と言っても立ち見組でも人垣が二重三重とあって撮影も本当一苦労…。

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▲暫くすると観閲行進のために部隊が移動を始めます。

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▲いよいよ観閲行進開始。先陣は第12音楽隊・高田駐屯地音楽クラブ合同演奏隊です。

高機動車

Toyota HMV

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▲これは正しく最初に見かけた高機動車3台編隊の臨場です。 120mm迫撃砲RTの牽引と人員及び物資の輸送を主目的に開発が行われ1993年に陸自に採用されたのがこの高機動車。 トヨタ自動車製の民間普及車種であるメガクルーザーをベースに開発された高機動車は、 1983年に米軍が開発採用した高機動多目的車両「ハンヴィー:HMMWV」通称“ハマー:HUMMER”にデザインが酷似しているため 「和製ハマー」と呼ばれることがあります。

73式新小型トラック

Mitsubishi Type 73 New Light Truck

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▲次に登場したのは高機動車より小回りの利く73式新小型トラック(1/2tトラック)。 70年代から採用していた三菱製ジープの旧式化に伴い、新たに三菱のフラッグシップモデルであるパジェロを ベースに開発が進められ1996年に採用。民生車両を基にしているため陸自で唯一冷房可能なエアコンを標準装備 した車両です。元々SUVとあって高機動車では難点な街乗りも問題なさそうなのでこの陸自仕様を そのまま市販してくれないですかね。

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▲先頭車両部隊に続いて各部隊が行進を開始します。

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▲個人自衛用途の9mm機関拳銃を携行して部隊の先陣を切る幹部自衛官の面々。

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▲続々と一糸乱れぬ挙動で部隊が入場してきます。詳細な部隊名などは逐次アナウンスで紹介していましたが、 正直覚えてないので以下部隊名称は省略します。スンマセン。

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▲小隊の最後尾の隊員は5.56mm機関銃(MINIMI)と84mm無反動砲を携えています。

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▲こちらの隊員は防弾性能のある88式鉄帽ではなく迷彩カバーを付けた鉄帽を着用。

偵察オートバイ

Honda XLR250R

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▲部隊行進の次は偵察オートバイ部隊を筆頭に車両部隊が続々と登場します。 陸自では偵察部隊用に民生車両をベースにしたカワサキ製KLX250とホンダ製XLR250を採用していますが、 今回登場したのはホンダのオートバイ。隊員の背中には89式小銃が見えます。

120mm迫撃砲 RT

Mortier 120mm Raye Tracte Modele F1

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▲120mm迫撃砲RTを牽引した高機動車(重迫牽引車)です。120mm迫撃砲RTは元々フランス製で平成4年度から 従来運用してきた107mm迫撃砲の後継として豊和工業がライセンス生産を開始。 通常弾で約8,100m、ロケットモーター搭載の噴進弾の場合は約13,000mの最大射程を誇り、陸自の普通科部隊が運用 する火砲では射程・威力ともに最大級です。

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▲施設科の工作車両が続々登場。戦闘車両以外は余り興味無いので以下省略します。

92式地雷原処理車

Type 92 MCV

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▲もの凄い地響きと共にやってきたのは今回74式戦車に次いで唯一の履帯装備の装軌車両として 登場した92式地雷原処理車。愛称のマインスイーパーの名の通り、2連装の発射機を備えワイヤーで連結された 26個の子弾付きロケット弾を射出後、子弾の爆破により地雷(マイン)を誘爆・地雷原を無力化し、車両部隊 の通路を確保します。本体は日産製。

93式近距離地対空誘導弾

Type 93 Surface-to-air missile

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▲部隊拠点防空の要である93式近距離地対空誘導弾(近SAM)。愛称はクローズドアローで、日本版 アベンジャーシステムといえる存在です。長距離ミサイルでのアウトレンジ攻撃が常識となった現代戦において 既に実用上時代遅れとなった35mm高射機関砲L-90の代替として採用されました。 トヨタ製高機動車の荷台に91式携帯地対空誘導弾(携SAM)に採用されたものと 同じ東芝製ミサイルを4発内装した連装発射ポッドを左右2機備え、計8発の地対空ミサイルを運搬・発射でき、 エリアディフェンスにおける瞬間対応能力が向上しています。 最大有効射程は約5,000m程度と推測され、低速で低空侵入した戦闘機やヘリを撃墜します。 特に低速低高度飛行のヘリ部隊にとっては脅威の存在です。

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▲ようやく本日お目当ての装甲車両部隊が姿を見せました。陸自は世界先進各国の陸軍と比較してもAPC (装甲兵員輸送車)のような各種装甲車両の不足が指摘されており、実質的に現役唯一のAPCである装軌式の73式装甲車 に次いで、90年代後半以降にようやく画像の96式装輪装甲車や軽装甲機動車などの主要な兵員運搬用の装輪装甲車両 が採用配備されました。しかし、陸自の絶対数の上では依然として十分とは言えない状況です。

軽装甲機動車

Komatsu Light Armoured Vehicle

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▲2003年の陸自のイラク派遣で一躍脚光を浴び認知度を広めた感のある軽装甲機動車。 その名のとおり、普通科部隊の機動力を重視しながら小銃弾に耐える程度の軽装甲を車体全面に施した車両で、従来の 装甲車両に比較しても格段に小型軽量でありながら、無防備な高機動車などの通常車両より兵員の生存性を確保します。 小松製作所が設計開発・製造を請け負っており、2001年頃から量産を開始。 車重は約4.4トンで整地上での最高速度は約100km/h、1両当たりの調達価格は約2,600万円。 愛称はライトアーマーで略称は軽装甲機動車の通りLAV(Light Armoured Vehicle)とされています。 武装は車体上面ハッチのターレットに画像のように防楯付き銃架を装備することが可能で、 5.56mm機関銃MINIMIや89式小銃を備えることができ、運用部隊によっては12.7mm重機関銃を積載 することもあり、軽MATなどの各種対戦車火器の運用もできます。 当初は陸自のみに配備されていましたが、その後空自でも基地警備隊向けに配備が進んでいます。

96式装輪装甲車

Type 96 Wheeled Armored Personnel Carrier

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▲こちらもイラク派遣で活躍した96式装輪装甲車です。事実上陸自初の運用配備となる装輪式のAPCで愛称はクーガー。 長年運用してきた装軌式の73式装甲車の後継として小松製作所が設計開発・製造を請け負い1996年より主に普通科 部隊を中心に配備を開始。車重は約14.5トンで整地上での最高速度は約100km/h、乗員数は計10名でクルー2名に 加えて後部兵員輸送室に8名の兵員を収納することが可能です。兵員輸送室に当たる車体後部側面には左右2枚 づつ計4枚の外部視察用の防弾ガラスが装備されていますが、通常装甲に比較しての防弾ガラスの脆弱性は 言うに及ばず、実戦での運用を考えると正直微妙なところ。武装は40mmグレネードを連続発射可能な 96式40mm自動てき弾銃を装備するA型と12.7mm重機関銃を装備するB型とで異なります。 今回登場した車両にはイラク派遣車両と同様に運転席部分にワイパー装備のガラス窓風防が装備されています。

155mm榴弾砲 FH-70

Field Howitzer for the 1970s

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▲74式特大型トラックをベースにした中砲けん引車に牽引されてきた155mm榴弾砲FH-70。 1970年代に欧州で開発されNATO加盟各国で制式採用されている定番主力中砲であり、我が国では1983年から ライセンス生産が開始され、全国の野戦特科に400門近くが配備されています。 一応、車体に自走用のガソリンエンジンを搭載しており、短距離であれば発射地点まで牽引なしで移動可能です。 最大射程は通常弾で約24km、ロケットモーター搭載の噴進弾の場合は約30km。使用される155mm榴弾は 重量43.5kgで弾頭に11.3kgの炸薬が内蔵され、着弾と同時に約4千個の弾殻断片を全方位に飛散させ、半径350mまで 危険地帯となり、敵人員や建造物を破壊する強力な打撃力を有します。 ちなみに愛称はサンダーストーンですが、他の装備と同様に陸自内では全く普及してません(笑)。

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▲最後に駐屯地の頭上に航空部隊が飛来。今回参加したのは手前から観測ヘリのOH-6Dと多用途ヘリのUH-60JA、そして 自衛隊最大の大型輸送ヘリのCH-47Jの計3機です。

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▲現在時刻1120時。観閲行進を含む記念式典が終了し、グランドではいよいよ本日最大の目玉イベントである 模擬戦闘訓練の準備の真っただ中。その間も観衆を飽きさせぬよう音楽隊とラッパ隊のコラボレーション演奏が行われます。 待望の模擬戦は次のページで!
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