平成21年4月19日 陸上自衛隊高田駐屯地創設59周年記念行事 -模擬戦闘訓練編-

模擬戦闘訓練

Sham Battle Training

2009年4月19日 陸上自衛隊高田駐屯地創設59周年記念行

▲観客席から見てグランド左側に布陣するのが今回のアグレッサーとして敵対抗部隊を務める自衛隊員の方々。 観衆に位置を示すために発煙筒でレッドスモークを焚き、同時に会場のスピーカーから聞き慣れたBGMが…。。。 NHK日曜夜8時のアレです。そう大河ドラマ“天地人”の勇ましいBGMが今年の模擬戦のテーマソングのようです。 そういえば会場で配っていたプログラムパンフレットの表紙にもデカデカと「愛」の一文字が書かれていました。 今年は天地人の宣伝効果のお陰で地元新潟も観光客が増え、上越市という絶好の土地柄からこのBGMの使用は高田駐屯地 の特権でしょうか。確かに戦の手段そのものは変われども本質的な部分では数百年が経過した現代に至っても何も 変わっていませんね。

OH-6D

Cayuse

2009年4月19日 陸上自衛隊高田駐屯地創設59周年記念行

▲模擬戦の開始と共に突如飛来してきたのは観測偵察ヘリのOH-6D。 小回りの利く機体性能を活かして敵勢力の布陣構成や規模などを偵察し、各種戦術データを収集します。 航空偵察や弾着観測を行うための軽観測ヘリコプターとして導入された米国ヒューズ社製のOH-6Dは、 川崎重工業で1979年から1997年の生産終了までライセンス生産され、陸上自衛隊や海上自衛隊などで 運用。卵を連想させる特徴的なキャビンの形状から“フライングエッグ”の俗称でも知られており、 観測任務の他に人員・物資の搬送も可能なOH-6Dは平時における運用柔軟性も高く、先の中越地震における 災害派遣活動でも活躍しました。

2009年4月19日 陸上自衛隊高田駐屯地創設59周年記念行

▲上空を低空旋回するOH-6Dに向けて89式小銃で対空射撃を行う敵対抗部隊。

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▲偵察ヘリの離脱後にやってきたのは偵察オートバイ部隊。敵対抗部隊が猛烈な攻撃を浴びせる最中、敵陣地の前方に接近して バイクを盾に小銃で反撃します。山林など一般車両では走行が困難な不整地の多い日本では、機動性の 高いバイクは大変重宝します。

UH-60JA

Black Hawk

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▲続いて飛来してきたのは本日参加の航空勢力の中で主役ともいえるUH-60JA(ブラックホーク)。 従来、陸上自衛隊にて使用されてきたUH-1多用途ヘリコプターの後継機として 1997年より導入された 米国シルコスキー社製UH-60JAは、三菱重工業においてライセンス生産されており、航空自衛隊や 海上自衛隊においても救難機、哨戒機などの各種派生型の機体が運用中。 ちなみに気になる一機当たりのお値段は陸自仕様のUH-60JAで大体40億円前後とUH-1Jの3倍以上です。 完全代替ではなくハイローミックス運用も納得。

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▲会場上空でホバリングしながら、ラペリング降下のためのザイルを地上に垂らします。 ヘリボーン作戦による空中機動展開能力を武器とする第12旅団ならではの展示です。

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▲サイドドアから一度に2名の隊員が降下。“アイリーン!!”、米国映画「ブラックホーク・ダウン」の劇中で 活躍したMH-60L “ブラックホーク”で一躍有名になったMH-60ヘリコプターシリーズは多彩なシリーズ 展開を図っており、汎用型のUH-60など様々なモデルが米軍を始めとした世界各国の軍や特殊機関などで 採用されています。非常に高い空中機動性能を有するUH-60はGPSや慣性航法装置などの各種ハイテク電子装置の 補助により全天候下での飛行が可能であり、有事においては人員・物資の輸送やヘリボーンによる急襲作戦などに用いられます。 また、陸上自衛隊が運用するUH-60JAは機体の左右に大型の燃料タンクを備えているため、 無給油で1,200km以上 の航続距離があり、日本国内の殆どの地点に緊急機動展開させることが可能で、近年重要視されている島嶼防衛にも有効とされています。 また全天候飛行による長大な航続距離や15名の人員・物資輸送能力を始めとし、有事のみならず平時における災害派遣などにも大変活躍します。 2004年に発生した中越地震の際にも派遣され、被災者の避難輸送や物資輸送などで活躍しました。

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▲巨大な怪鳥のごとく、ブラックホークのメインローターによる強烈なダウンウォッシュによって降下地点には 大量の砂塵が舞います。う〜ん、これがラペリング降下ではなくファストロープ降下だったら完全に ブラックホークダウンのワンシーンです! あRPGィい!!

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▲その後、迫撃砲部隊を中心に制圧部隊が攻撃陣地の構築を開始。 隣では拠点防空を担う93式近距離地対空誘導弾が敵航空機を迎撃するため空に睨みを利かせています。

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▲擬装網を施した陣地内で敵陣地に対して照準を定める81mm迫撃砲 L16(愛称:ハンマー)。 L16は元々イギリス製で国産の64式81mm迫撃砲の後継として平成4年度からライセンス生産されており、 重量38kgと小型軽量で分解組立て可能なため少人数での運搬・運用が可能。最大射程は約5,600mで曲射弾道を描く迫撃砲の 特性上、山岳地帯が多く高低差の大きい日本のような地形環境では山越しに砲撃でき非常に有用な攻撃手段です。

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▲手前の81mm迫撃砲に加え、後方では射程の長い120mm迫撃砲、さらに30kmもの射程を有する155mm榴弾砲 FH-70が 敵陣地に対して猛烈な攻撃を仕掛けます。FH-70の空包射撃は模擬戦のメインのひとつでもあり、 打ち上げ花火の尺玉に匹敵する大迫力です。

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▲敵陣地への着弾を示すため仕掛け爆薬が炸裂。これも近くだと結構な音圧です。

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▲砲撃部隊の援護射撃に続いて進入してきたのは74式戦車と96式装輪装甲車。74式戦車が主砲の105mm戦車砲で 敵装甲車両に強烈な砲火を浴びせ各個撃破していきます。

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▲特徴的な油圧式サスペンションによる姿勢制御システムで車体を傾斜させる74式戦車。 射線を確保すると同時にベルト給弾方式の74式車載7.62mm機関銃で敵に斉射してます。

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▲機甲部隊の後ろでは攻撃部隊が続々と集結。先に布陣していた迫撃砲に加え、伏射の状態で89式5.566mm小銃と同口径の 分隊支援火器である5.56mm機関銃(MINIMI)で敵に狙いを定めます。その後方では84mm無反動砲を携えた隊員が 砲撃準備に移ります。

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▲帯状に展開した部隊が一斉に射撃を開始。5.56mm弾特有の乾いた銃声が響きます。

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▲その後方で重量16kgもある84mm無反動砲(カールグスタフ)を構えて砲撃を行う隊員。 バランスの悪い立射姿勢のため、補助の隊員が体を抱え込んで反動を軽減します。

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▲上空に飛来してきたUH-60JAブラックホークがドアガンとして追加装備した12.7mm重機関銃(ブローニングM2)で地上の 敵勢力に斉射攻撃を行います。空包といえども“ドッドッドッド”とブローニングM2特有の低い発射速度 と50口径の迫力ある重低音が会場に響きます。 12.7mm弾は装甲車両に対しては威力不足ですが、非装甲車両や軽装甲車両などの撃破制圧には大変効果的です。 人体に対する殺傷力は戦時国際法で指摘されるほどで言わずもがな。 有効射程は対人・対物など用途によって変わりますが、非装甲車両の撃破が期待できるのは概ね1,000m程度までとされています。

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▲いよいよ模擬戦も最終局面に突入。硝煙の中で一斉に攻撃前進を仕掛けます。

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▲ムーブオンシュートの体勢で小銃を構える隊員を先頭に、敵陣地に対して突入します。

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▲ついに敵陣地に侵入。なおも抵抗を続ける残存敵勢力を順次無力化していきます。

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▲敵勢力を完全に排除し、敵陣地の制圧・奪取に成功。その後も周辺警戒を怠りません。

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▲現在時刻1200時。以上で本日最大の目玉イベントである模擬戦闘訓練が終了しました。

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▲40分程度のランチタイムの間にグラウンドでは午後の装備展示の準備が行われます。
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