▲小休止を挟んで、いよいよ後段演習の開始です。
▲今回の後段演習は尖閣諸島の問題などで近年注目を浴びている島嶼防衛を想定しており、冒頭では陸上自衛隊が保有する地対艦ミサイルシステムである 88式地対艦誘導弾の展示が行われました。自衛隊での略称は「SSM-1」、愛称は「シーバスター」。 日本の沿岸に接近した敵艦船や上陸用舟艇の撃破を目的に開発され、巡航ミサイルと同じく長距離飛行に適したターボジェットエンジンを搭載したことにより、 有効射程は非公表ながら150km以上と推定されています。 また、88式地対艦誘導弾は対艦ミサイルとしては珍しく、対地攻撃用の巡航ミサイルなどと同じく地形回避飛行能力を有し、沿岸部からの発射だけでなく、 発射機を内陸部に設置することで、対艦ミサイル部隊の生存性を維持したまま内陸部からの攻撃も可能となっています。
▲地対艦ミサイル部隊の目となる捜索・標定レーダ装置(JTPS-P15)は海外線に展開し、レーダーで捜索・探知した目標の諸情報を中継装置を介して指揮統制装置に伝送。 この解析された諸元をミサイルに入力後、攻撃が開始されます。 なお、2012年からは88式地対艦誘導弾の後継として、射撃能力や残存性、ライフサイクルコストなどを改良強化した12式地対艦誘導弾の調達が開始されています。
▲まずはヘリコプターの空中機動性を発揮したヘリボーン攻撃の開始。UH-1J多用途ヘリが進出します。
▲機内には2輌の偵察用オートバイが積載され、敵支配地域に降着後、速やかに偵察部隊を展開させます。
▲後続部隊を援護するため、AH-64D戦闘ヘリコプターが飛来。30mm機関砲で敵地上部隊を制圧します。
▲AH-64Dの傍らでは、観測ヘリコプターであるOH-1が戦果確認を行います。
▲降着地点の安全が確認された後、地上部隊員の搭乗した後続部隊が飛来。
▲上空に飛来したUH-60JA多用途ヘリコプターのサイドドアから隊員が一気にラペリング降下を実施します。
▲UH-60JAの巨大なローターが生み出す強烈なダウンウォッシュの下、隊員4名が無事降下に成功。
▲隣のCH-47Jからは隊員がファストロープ降下を実施。地上部隊員は速やかに降着地点から離脱します。
▲続いて高機動車を積載したCH-47J大型輸送ヘリコプターが2機が上空に飛来。
▲AH-64D戦闘ヘリコプターが援護する中、CH-47Jが会場中央に着陸します。
▲後部ランプが開放され、周辺警戒要員が速やかに機外へ展開し、周辺を警戒します。
▲機内に積載されていた高機動車がゆっくりと地上に向けて前進。
▲地上に展開した高機動車。バラクラバで顔を覆った完全武装の普通科小隊が周囲を警戒します。
▲5.56mm機関銃MINIMIを車載した軽装甲機動車(LAV)。
▲威力偵察任務などに使用される87式偵察警戒車。自衛隊での略称は「87RCV」、愛称は「ブラックアイ」。 自衛隊初の装輪式装甲車である82式指揮通信車の設計技術を流用し、基本的な車体構造を共有しています。
▲整地上では最高速度100km/hで走行することが可能で、高速道路網を使用することで迅速な展開が可能。 コンバットタイヤ(ランフラットタイヤ)の採用により、タイヤが被弾した場合でも一定距離の持続走行ができます。
▲上部の回転式砲塔には、25x137mm機関砲弾に準拠したスイスのエリコン(現ラインメタル)社製 KBA 25mm機関砲(80口径・ガス圧作動方式)を装備しており、 徹甲弾と榴弾の2種類の弾種を使い分けることが可能。有効射程は約2,000mに達し、非装甲車両及び軽装甲車両、対人目標などに対して絶大な威力を発揮します。
▲続いて74式戦車が登場。
▲敵機甲部隊に対し、51口径105mmライフル砲を射撃します。
▲特徴的な油気圧サスペンションによる姿勢制御機能により、車体前部を下降、車体後部を上昇させ、稜線射撃を実施する74式戦車。 これにより、敵に対する車体の前面投影面積を必要最小限にすることが可能で、待ち伏せ攻撃などを優位に行うことができます。 専守防衛に特化した戦術と言えます。
▲地雷原の処理に用いられる92式地雷原処理車。自衛隊での略称は「MCV」、愛称は「マインスイーパー」。 ワイヤーで結束された26個の爆薬ブロックを内蔵した処理用ロケット弾を投射し、投射線上に落下した爆薬ブロックの同時起爆により、地雷原を広範囲に爆破処理。 迅速かつ安全に見方部隊の進路を啓開します。
▲爆薬ブロック爆発の瞬間。92式地雷原処理車は、主に全国の施設科部隊に配備されています。
▲再び登場した10式戦車。
▲10式戦車小隊が協調行動をとり、連携して敵に攻撃を加えます。
▲HMT(油圧機械式無段階自動変速操向機)の採用により、前進時と同じく後進時も70km/hで走行可能。
▲車体の振動制御を目的として懸架装置には油気圧式のアクティブサスペンションシステムが採用され、従来の90式戦車以上に走行性能が向上しています。 さらに、このアクティブサスペンションシステムの車体制御技術により、44tという軽量な車体でも120mm滑腔砲の強烈な射撃反動を上手く抑制します。
▲強力な武装を有する陸上自衛隊初の歩兵戦闘車(Infantry Fighting Vehicle:IFV)として開発され、 1989年から配備が開始された89式装甲戦闘車。自衛隊での略称は「89FV」、愛称は「ライトタイガー」。
▲第一線部隊の攻撃に際して前面に展開する89式装甲戦闘車。
▲戦闘員の輸送を主目的とした装甲兵員輸送車(Armoured Personnel Carrier:APC)に対し、 IFVは主力戦車などの機甲部隊と行動を共にできるよう戦車と同等の不整地走破能力(無限軌道による装軌車両)を有し、 単なる兵員輸送だけでなく、対戦車戦闘を含む積極的な戦闘参加を前提として、大口径の機関砲や対戦車ミサイルなどの強力な武装を搭載、 そして通常のAPCより堅牢な装甲防護能力を備えています。
▲主要武装は砲塔に装備されたエリコン社の90口径35mm機関砲KDE、さらに砲塔の両脇に79式対舟艇対戦車誘導弾(重MAT)の発射機を計2基装備。 主砲である35mm機関砲は、APDS(装弾筒付徹甲弾)とHEI(焼夷榴弾)の2種類の弾種を運用でき、地上目標に加えて対空目標への射撃も可能となっています。
▲調達価格が1両約7億円と主力戦車に迫る高額であることから、調達数は配備開始から年間数量の極少数に止まっており、 2004年に最終調達が終了した現在では全国に68両しか配備されていないレアな車両です。
▲最後の突撃に備えて展開する10式戦車と90式戦車。
▲ヘリコプター部隊も続々と会場上空に集結。
▲上空で待機するAH-64Dアパッチ戦闘ヘリコプターとAH-1Sコブラ対戦車ヘリコプター。
▲この他にもUH-60JAやCH-47J、UH-1J、OH-1など陸上自衛隊の主要ヘリが総終結です。
▲総火演のフィナーレを飾る地上部隊と航空部隊の共闘による戦果拡張が実施されました。
▲戦果拡張に伴い地上の機甲部隊は発煙弾を発射し、煙幕を張ります。
▲煙幕の中の10式戦車。
▲やはり10式戦車はどこから見てもかっこいいですね〜。
▲最新式の10式戦車とは対照的なデザインの74式戦車も独自の美しさがあります。
▲機甲科部隊に随伴可能な唯一の対空火力である87式自走高射機関砲。独特の迫力があります。
▲「状況終了!」のアナウンスと共に無事に全ての演習項目が終了しました。
▲大勢の観客が一斉に帰路に着き、通路は大混雑。帰るのもまた一苦労です。
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