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American Body Armor TAC-100R Ballistic Face Mask

ABA(アメリカン・ボディー・アーマー)TAC-100R バリスティック・フェイス・マスク

アメリカン・ボディー・アーマー

American Body Armor

ABA(アメリカン・ボディー・アーマー)TAC-100R バリスティック・フェイス・マスク 米国の大手防弾装具メーカーのひとつであるアメリカン・ボディー・アーマー(American Body Armor and Equipment, Inc.:ABA)は、 1969年にフロリダ州の人口1万人ほどの小さな町であるユリーに設立された。 当時革新的であった男女兼用のハイブリッドタイプのコンシールド・ボディー・アーマーの設計をはじめ、最新の防弾材料と製造技術により、 捜査官からSWAT向けの各種防弾装具の製造販売を拡充し、 ABAは高性能な防弾装具を求めるローエンフォースメント(法執行関係機関)コミュニティーにおいて、短期間のうちに非常に高いブランドロイヤルティを獲得した。

1985年8月、ABAはUnifast Industries社に170万ドルで買収されたが、そのブランド力の高さから会社自体は社名を残して存続した。 しかし、1980年代後半からABAは恒常的な経営不振に陥り、1992年には米国破産法の適用を申請し、法の保護の下で組織再編と事業再編を進めていった。 そして1996年1月1日、事業再編を迫られたABAは、新しい所有権を有する株主が中心となって複数の子会社から成る軍需企業系列の持株会社を設立し、 同年8月21日に持株会社の社名がアーマー・ホールディングス(Armor Holdings, Inc.)として正式に採択され、ABA自体もその子会社となる。 アーマー・ホールディングスはフロリダ州ジャクソンビルに本社を置き、当初のABAのほか、11年間の歳月をかけて サファリランド(SAFARILAND)、ハッチ(HATCH)、ビアンキ(BIANCHI)、モナドノック(MONADNOCK)、プロテック(PROTECH)、セカンドチャンス(SECOND CHANCE)、 ディフェンス・テクノロジー(DEFENSE TECHNOLOGY) といった米国の主要なデューティー・ギア・メーカーや防弾装具メーカーを次々に買収し、これらを子会社として経営傘下におさめていった。

さらに、2007年5月7日、アーマー・ホールディングスは系列企業と共に英国の大手軍需企業であるBAEシステムズに約41億ドルで買収される。 その後、2008年以降に米国の複数のタクティカル・ギア・メーカーを傘下に有するBAEシステムズ・プロダクツ・グループは、 既に系列企業のひとつであり、総合タクティカル・ギア・メーカーとして世界市場で高いブランド・ロイヤルティを誇っていた“サファリランド”に社名を統一したことから、 2014年時点ではABAはサファリランド・グループの系列企業となっている。

TAC-100R バリスティック・フェイス・マスク

TAC-100R Ballistic Face Mask

米国の大手防弾装具メーカーのひとつであるアメリカン・ボディー・アーマー(ABA)社製の“ TAC-100R バリスティック・フェイス・マスク”。 “TAC-100R”は、CQB(近接戦闘)オペレーションを専門とする対テロ特殊部隊や警察SWATチーム向けにデザインされた顔面に着用するマスクタイプのフェイスアーマーであり、 拳銃弾に対する一定の抗弾能力(米国NIJ規格レベル2)を備えている。 本体の重量は約950gだが、6本のヘッドストラップバンドを用いて装面するため、激しい動きでも面体が動揺することはない。 “TAC-100R”は1980年代に同社から販売され、無防備な顔面の防護が可能というメリットから、 一時期は米国司法省隷下のDEA(Drug Enforcement Administration:麻薬取締局)所属特殊部隊をはじめとした全米の警察SWATチームで採用されたが、 顔面に被弾した衝撃でマスクの着用者が脊髄を損傷して半身麻痺になる事故が発生し、これを契機にマスクタイプのフェイスアーマーの使用を禁止する州も現れ、 以降同社はバリスティック・フェイス・マスクの製造を終了している。 なお、同社がバリスティック・フェイス・マスクの製造を終了した後も、 各国の防弾装具メーカーにおいて同社の製品に倣った同様のバリスティック・フェイス・マスクの販売が継続されているが、 現在の顔面防護はヘルメット固定式のバリスティック・フェイス・シールドが主流であるため、 各国のタクティカルユースにおいてバリスティック・フェイス・マスクを現行採用している組織は、台湾軍やボリビア軍など一部の軍特殊部隊を除いて極めて稀である。 バリスティック・フェイス・マスクは、人間味の感じられない独自の威圧感から制圧対象者に対するショック・エフェクト(心理的威嚇)の効果が高く、 現在では実用品としてよりも軍・警察機関における示威目的での着用やコレクターアイテムとしての位置付けで製造が継続されている傾向が強いと言える。

ABA(アメリカン・ボディー・アーマー)TAC-100R バリスティック・フェイス・マスク

ABA(アメリカン・ボディー・アーマー)TAC-100R バリスティック・フェイス・マスク

ABA(アメリカン・ボディー・アーマー)TAC-100R バリスティック・フェイス・マスク

ABA(アメリカン・ボディー・アーマー)TAC-100R バリスティック・フェイス・マスク

▲後頭部には一般的なガスマスクと類似した伸縮性のある6本のヘッドストラップバンドが設けられており、装面は容易である。

ABA(アメリカン・ボディー・アーマー)TAC-100R バリスティック・フェイス・マスク

▲ヘッドストラップバンドの後頭部にはABAの製品ラベルが縫い付けられている。

ABA(アメリカン・ボディー・アーマー)TAC-100R バリスティック・フェイス・マスク

▲顔面が接する防弾面の内側には、着弾の衝撃を緩和する硬質の衝撃吸収材が設けられている。

ABA(アメリカン・ボディー・アーマー)TAC-100R バリスティック・フェイス・マスク