アサルトスーツやフェイスマスクに並び、タクティカルグローブは対テロ部隊における最も基本的な身体防護装備である。 大胆かつ迅速な急襲手法の一種であるダイナミックエントリーを伴うCQBオペレーションでは、進入戸口の破壊に爆薬を用いたり、 部屋の突入ごとにスタングレネードなどの各種ディストラクションデバイスを使用するため、閉所空間では強力な爆圧で窓ガラスや天井の電灯が割れ、 鋭利なガラス断片が飛散する危険性が高い。 また、少量といっても爆薬の燃焼温度は非常に高温であり、小火器から生じるマズルフラッシュ(発砲火炎)の発射ガスや排出された薬莢なども高温で火傷の危険性がある。 作戦中に生じるこれらの様々な危険から素手を保護するのがタクティカルグローブだ。 タクティカルグローブは素手の保護という第一義を有しながら、銃器による攻撃がメインであるCQB(近接戦闘)という環境下においては、 極力素手に近い繊細なトリガーフィーリングやガンハンドリングに支障をきたさない快適性が得られるデザインであることも求められる。 また、例えば警察系特殊部隊が遭遇することの多い刃物で武装した犯人を確保する状況など、 犯人の制圧に銃器を使用しないCQC(近接格闘)を前提とした作戦では、耐切創性に優れるケブラー繊維で縫製された防刃グローブなども用いられる。 CQBを前提とした対テロ部隊ではアサルトスーツと同じく難燃性に優れた薄手のノーメックス素材で縫製されたものや皮革でつくられた堅牢なグローブなどが好まれる。 従来は対テロ部隊の要求を満たした民間や軍用の既存製品が用いられていたが、近年では各種タクティカルギアメーカーが独自に開発するCQB任務に特化した専用デザインのモデルも多数登場している。 このほか対テロ部隊ではラペリングやファストロープなどのロープ降下技術が必須であるため、 ロープ降下の摩擦熱に耐えられる革製の専用グローブも用いられる(ただし近年ではCQB向けタクティカルグローブと兼用できるモデルも多い)。
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